「わたしのマンスリー日記」第7・8回「生活科魂」――三つの心
「高田の四季」
学会そのものは神奈川県相模原市で開催されたのですが、懇親会は隣の町田市のレンブラントホテル東京町田の地下ホールでした。対面式の大会は4年振りということもあって、参加した300名の会員の表情は皆弾けるように明るく、きらきらと輝いていました。
開会の挨拶に立った先生がいきなり歌を歌って歓迎のメッセージを伝えたのには少しびっくり! でもその底抜けの明るさとホールに響く歌声が懐かしく嬉しかった。昔と少しも変わってないな――。
私は昔のことを思い起こしていました。生活科設置を決めた文部省は全国に生活科研究指定校を決め、研究開発を推進しました。その全国の研究指定校の中でも新潟県上越市立大手町小学校の実践はひときわ注目を集めていました。某年某月某日開催された公開研究会には全国から2000人以上の教師たちが詰めかけました。私は講師の一人として壇上に立ったのですが、壇上から見た会場は文字通りの「鈴なり」状態でした。
詳しい脈絡は忘れましたが、私は壇上で即興で「高田の四季」という歌を歌いました。「高田の春は爛漫と~」から始まる歌ですが、会場を埋め尽くした聴衆からは驚きながらも温かい手拍子が起こりました。
なぜ「高田の四季」だったのか? 生活科は地域に密着し四季の変化に応じた活動を行うことをコンセプトの一つにしていたことが主な理由ですが、実はもう一つ理由がありました。それは妻が旧高田市(現上越市)生まれで、私自身この歌に馴染んでいたからでした。これは生活科の歌だなと。
「三つの心」
話を戻します。私は当日、会員向けのメッセージを大会会長の吉田豊香先生に託し、挨拶の中で読み上げてほしいと頼んでいました。私としては1分程度の軽いメッセージのつもりでしたが、吉田会長はスクリーンに大きく映し、朗々と読み上げてくれました。紹介します。
三つの心
私が微力ながらも「生活科」の定着・発展に力を尽くしたのは、なぜか?
それは、
生活科は日本の教育を変えるだけでなく、
人間のあり方・生き方に大きな示唆を与えるものだ
と確信したからです。
ALSという難病と闘って早や5年。身体(からだ)は動かなくても、
精神は自由でありたいと願っています。
この間私を支えてくれたのは「生活科魂」でした。
その「生活科魂」は三つの「心」によって支えられていると思います。
一つ目は、
自分のことは自分で決めて生き抜くこと。
これは「自立」の心です。
二つ目は、
周りの人々や自然などの環境と支え合いながら生きること。
これは「共生」の心です。
そして三つ目は、
どんなに苦しくても夢を捨てないこと。
これが「夢」を持つ心です。
同じ志を共有できるこんなに多くの素適な仲間たちに会えて、ただただ感動! 未来の自分にワクワクドキドキできる子どもたちを育ててください。
最後に、本大会の準備に当たってくれた大会会長の吉田豊香先生を始め準備委員会の皆さんに感謝申し上げます。素敵な第32回大会をありがとう! そして、ご苦労様――。
2023年6月17日
谷川彰英(たにかわ あきひで)