『人間はだまされるフェイクニュースを見分けるには』

三浦 準司/著
理論社/刊
定価1,300円(税別)

自分はだまされないと思っている人へ

 現代社会は情報化の波にのまれ、あふれる情報の中にいる我々は、情報とどう向き合えばよいのかー。誰しもが気に
なるであろう疑問に様々な視点から答えてくれる本である。

 人間はだまされる。でも自分はだまされない。そう思っている人が多いのではないだろうか。意識的にではなくても、
無意識のうちにそう思っている人もいるはずだ。人間は自分が信じたいことを信じ、嫌なことは認めたくない傾向にある。

 情報の送り手、例えば広告主はその傾向を利用して、耳に心地よい情報を提供する。しかし、そんな情報ほど要注意かもしれない、ということを本書は教えてくれる。耳に心地よい情報をただ受け取っていては、相手の手玉にとられてしまう上、その裏に隠された危険性にも気づけない。

 広告だけではなく、事件が起こった時にマスメディアから提供される情報にも同じことがいえるだろう。ならば、受け
手はどういう行動をとるべきなのか。受け手は情報をただ受信してはいけない。得た情報に疑いを持って自ら考えたりす
ることで、初めてそれは自分の知識となる。そうして隠れた危険を知り、回避策を見つけられるのだ。

 また、SNSが発展した今、我々は受け手になるばかりでなく、発信する側にもなりうる。今までマスメディアしかで
きなかった情報発信を我々も行えるとなれば、我々の意見も世の中に影響を与えることができる。その重さを、どれだけ
自覚しているだろうか。

 自分はだまされないと思っている時点でだまされていることに気づき、賢い情報の送受信をしたいものである。

(評・熊本県立八代高等学校2年 山本 怜音)

(月刊MORGENarchive2017)

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