「こころの病も心身一如の自然治癒力」―季節性うつ病から双極性障害を自ら体験して― 第3回「アンチエイジング医学の核心」

自然治癒力発動の仕組み

 ヘモグロビンA1Cとは、細胞内の血色素・ヘモグロビン(たんぱく質です)が血液中のブドウ糖と結合したときの糖化度を測るもので、高ければ、余分なブドウ糖が血液中にあることになります。ちなみに、正常値は、5・8%未満です。さて、生命体は、その生命維持のために、血糖値を常に一定の範囲内に保とうとしています。そのために、血液は、常に一定量のプドウ糖、空腹時で60~95mg/dlを必要としています。生命の根元である赤血球の活動エネルギー源を確保しているのです。そして、考察1で述べたように、循環血液量を常に一定に保とうとしています。その手段は、「千島新血液学原理」 の「血球の可逆的分化説」 で説明することができます。

「生命体は、健康で栄養状態がいいときは、赤血球から生殖細胞をはじめすべての体細胞や組織へと分化する。生命体は、栄養が不足したり、意識的な断食とか半断食をしたり、病気で食欲をなくしたり、大量に失血したりしたときには、生命維持に差しさわりのない細胞から元の血球に逆戻りさせる……」

 差しさわりのない細胞とは、余った栄養分すなわち過剰な赤血球が脂肪に変化して脂肪細胞になったもので、骨髄脂肪や内線脂肪や皮下脂肪として蓄積されているので、真っ先に骨髄を埋め尽くす脂肪細胞から元の血球に逆戻りするのです。この逆戻り作用は、「二次造血」に相当します。

「この、循環血液量を一定に保つための可逆的分化現象は、正しく自然治癒力の発動である!」

 がん細胞やその他の炎症部のさまざまな細胞などの病的状態の細胞すらも逆戻りするので、断食療法が効くということの根拠になります。これはアンチエイジング医学の核心を突くものともいえるのです。(一部改訂)

次回は「自然治癒力の終わりに」です。

小松 健治  こまつ けんじ 1944年広島県呉市生まれ。島根県江津市桜江町川越育ち。順天堂大学医学部を卒業後、島根県益田日赤病院胸部外科部長を経て、現在、人間に完璧に備わっている「自然治癒力」・免疫力を尊重し、日常生活即医学ととらえた自助療法を主体とした「あうん健康庵」庵主、総合診療医。実証主義に基づき「生血液細胞・栄養分析法」(Live Blood Analysis、LBA)を用いて「千島学説」の実証に努める一方、血液循環療法やオルゴン療法の効果に注目、その医学的解明にも取り組んでいる。 著書・論文に『最後の療法』(越野稔との共著、幻冬舎)、『医者が学んだ祈りの力』(幻冬舎)、「革新の体液循環論」(『血液と循環』第7号、血液循環療法協会)、「『自然栽培』と『自然医療』の共生を目指して」(『螺旋』16号、千島学説研究会編)など。

(モルゲンWEB2024)

関連記事一覧