「わたしのマンスリー日記」第19回「どんな難病でも私たちは諦めない!(その1)さかもと未明さんとの対談SP
【未明】「エンジン01に入っていてよかった!!」と思いました。先生に会えたのは、エンジンのおかげです。そして、先生もエンジンのオープンカレッジや会合を本当に楽しんでいらっしゃるんだなと、それが読んでいてビシビシ伝わるので、すごく生き生きといろんな場面が思い出されて良かったです。人生って、つまりは出会いの喜びですよね!!
【谷川】「人生って、つまりは出会いの喜び!」というのは素敵な言葉ですね。私はエンジン01ではノンフィクション作家ということになっていますが、もとはと言えば教育学者で大学の一教授に過ぎなかったんです。ひょんなことから矢口高雄先生と交流することになり、それが機縁となってちばてつや先生や里中満智子先生などのマンガ家の皆さんとのお付き合いが始まりました。
エンジン01の会員になるには会員2名の推薦が必要になるのですが、私を推薦してくれたのはちば先生と里中先生だったらしいですよ、後で聞いた話では。今は「地名の谷川」というイメージがすっかり定着していますが、当初はマンガ文化の応援団長と思われていました。だから未明さんが入って来た時も、また1人仲間が増えたなと。
【未明】そうだったんですね。嬉しいです。マンガ家は、とにかく出かけられない仕事なんです。相当親しい友人や先輩後輩とも、年に一回会うか会わないか。でも、互いに頑張っていることを知っているし、作品も常に読んでいるから、分かり合えるんです。
私は先生ほど大変ではないですが難病があるので、人にはわからなくても階段とか、気温、日光、疲労、色んなものを避けるためにじっと戦ってるんです。先生もそうだと思うんですが、毎秒ごとの「静かな戦争」なの(笑)。
だから、現実には先生とはお元気だった時に数回、発症されてからはたぶんご本とお手紙、メールのやりとりでしか会っていません。でも「わかります! 同じです!」といつも頷いていて同志だと私も思っています。いつの間にか勝手に、「先生の親戚の子」くらいの気持ちでいます。
教頭を辞めるつもりだったけれど、辞めないで頑張っていらっしゃる山口小百合先生も、それから視力を失われた下村満子さんも、同じ気持ちだと思うんです。それぞれに一人で戦うしかなくても、「誰かが自分の辛さをわかってくれている。もっと頑張っている人がいる」と思うだけで頑張れる。
この本にはそういうエールがたくさんあって、元気になれるし、そして泣けてきます。『野菊の墓』のくだりも切なかった。ただ、民子さんに愛されていないのに知らずに面倒見ていたご主人も可哀相で……。