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三田 紀房さん(漫画家)

当時、将来的のことは

 考えなかったですね。大学もとにかく東京の大学――、もう東京以外考えられなか ったですから、東京の単純に名の通った大学に行きたいと。そういうとこならどこでもよかったんです。とりあえず六大学に人ればなにかいいことありそうみた いな感じで。

絵は小さい頃から

 絵を描くのは得意でしたね。どうやったらいい点数がもらえるかというのが自 分なりにわかっていたので、先生が喜ぶ絵を描くことができたんです。あと、写すのが非常に得意だったので、友達からよく「描いてくれ」と言われて漫画のキャラクターを写してあげたりはしていましたね。小学校の頃とか、図書館に行ってはルノアールとかセザンヌとかの画集を見て描いたり、家でも、兄がプラモデルを買ってきて組み立てた後の箱をもらってそれを描いたり。家で働く職人さんの隣で一心に箱描き写していました。

大学は明治大学の政経学部に

 結果的にそうなっただけなんですけどね。というのも文学部から何からみんな受けたもんですから。要するにカレンダーで受けやすいところを二日おきくらいに予定を組むと、それが政経学部だったり文学部だったり法学部だったりしたんです(笑)。

その当時、将来の展望は

 サラリーマンになろうと思っていました。家が商売屋で休みのない生活をしてるのを見ていて、休みのないのはイヤだと思ってね。とにかく、家族でどこかに行くとかそういうのも、一度もしたことがなかったんです。元旦だけ休んで、あとは一年中一日も休まない。こんなに働きたくないなぁと思っていました。

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