青い海と空のみちのく八戸から・波動はるかに 第4回 エミシの背中
さてエミシとはどういう人たちなのか?どこに行ってしまったのか?
エミシはアイヌであるのか、日本人に同化して消えてしまったのか。アイヌの人たちが日本列島における先住民族であることは常識であろう。が、皇国史観から抜け出られない勢力の政治的歴史観でそれを認めない人たちもいる。ここではそういう論争には加わりたくないので私の真に個人的な妄想を書いてみたい。
日本列島に人が住み着いたのは1万年以上前のことと言われている。青森三内丸山遺跡は今からおよそ5500~4000年前の縄文前期から中期の遺跡というから、少なくともその時代には既にきちんと集落や建造物を設計し、建設する技術を持った人の集団があった。西暦0年はちょうど縄文期と弥生期の重なる時期だ。つまり稲作農業を中核にした人たちが列島に移り住んでくるころとなる。
話はとばすが、鬼頭宏という人口学者の推計によると、西暦0年ころの日本列島の人口はおよそ60万人だという。まさに超過疎状態。狩猟・採集が中心の社会にとって列島は十分すぎるぐらいキャパシティがあった。従って争いのない平和な幸福社会だった。そこに新しい移民が朝鮮半島経由で入ってくる。日本が律令国家として統一の形を成すエポックとなる大化の改新(650年)頃までには段階的・に断続的に大陸人が入って、その頃は10倍の約600万になったという。此の増加分はほぼ移民人口。その中の近畿に地歩を築いた勢力が、関東以北にも食指を伸ばし始める。征夷大将軍という軍事大臣を先頭に関東から東北に向けて進出を始める。敵は文字通り夷(エミシ)。