青い海と空のみちのく八戸から・波動はるかに 第5回 極彩色と青。八戸三社大祭から。

 おがみ神社の神事行列に連なる山車11台の先頭は城下附祭の山車は「車引 菅原伝授手習鑑」、同山車組は1975年城下小学校開校記念して、初めて町内会が協賛し山車を出し50年続けてきたそうだ。2001年前夜祭が雨で中止になり、その夜翌日の本番向けて整備していていたところ山車周辺から出火し、山車と山車小屋が全焼するという悲劇に襲われたという。制作関係者やお囃子隊、山車を引くのを心待ちにしていたこどもたちの悲しみはいか程だっただろうか、胸が張り裂ける。その後市内や北海道などから熱い支援が集まり、翌年には復活して感謝や想いを繋ぎ続け、今年はその城下小学校生徒さんたちが「50年の想いはわたしたちが未来へ」と横段幕を掲げて先導し、沿道の拍手に迎えられた。

 長者山新羅神社行列には9台の山車が続く。山車づくり130年の歴史を誇る鍛冶町若者連は、「平家一門・大物浦の逆襲」を完成。若い制作責任者は、中学生から山車づくりに関わりお父さんの背中を追いかけること20年、今年初めて大役を果たしたという。山車制作も親から息子、孫へと引き継がれる。

 毎年5月ごろから、各町山車組は制作を開始するとのことだがすべて町内のマンパワー、連日連夜の労業による。題材物語世界の出現に向けて、舞台作成と装飾、照明、上下操作や左右開展の電動仕掛け、登場人物の巧な顔絵付け、煌びやかな衣装制作など、どんなに労力や費用を要するのだろうか。始まりから300年の壮大な時間の流れと八戸の人々が伝統を絶やさず繋いでいこうとする情熱と創造力、その根底に凛として流れる三つの神社に向かう郷土の人々の安寧と豊作を祈願する魂のリレイを想った。三社大祭は2004年に国指定重要無形民俗文化財になり、2016年にユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」に登録されて、祭りに寄せる市民の期待と情熱も増大している。

関連記事一覧