「こころの病も心身一如の自然治癒力」―季節性うつ病から双極性障害を自ら体験して― 第2回「医学の本旨は人間のもつ自然の生命力」

 そして、「気血の調和や、精神、身体医学などは何れも人間を1個の個体として心身一如(心身一体)として観るのはよいが、個体と環境との関係、及び個体の動(運動)の重要性や気血動をむすぶひもが何であるかが忘れられている。そこで、私は〝気血の調和原理″を改めて〝気血動の調和″とし、これこそ健康長寿の根本原則であると強調している」と提唱しました。干島の心身一如の生命弁証法という哲科学によって裏づけされたものであり、「気血動をむすぶひもとは」 と 研究課題を投げかけています。

再び千島学説非認識派の立場から考える

『病気が長引く人、回復がはやい人』江田証著(幻冬舎)からの引用です。

「最近、私はあることに気づきました。見た目が若い人は、病気になりにくいということです。見た目が若い人の体を調べてみると、血管や血液また心臓や脳、胃腸などの臓器の状態がよく、それを構成している組織、細胞までも若々しい。この若々しさとは、言い換えると、「レジリエンス」がある、ということです。日本語では抵抗力、抗病力と訳されます。病気を遠ざけたり、ダメージを受けてもボキッと折れず、すぐに立ち直れる、バネのような回復力のことです」

 ここでレジリエンスが出てきたので、良書『こころの免疫力』藤田紘一郎著(新潮選書)からレジリエンスについて述べてある項を引用して取り上げます。

「最近の精神科領域では、「レジリエンス」という言葉が注目されている。アメリカのオバマ大統領が就任時に行った施政方針演説になかで使われ、有名になった。辞書を調べると、弾力性、あるいは回復力などと説明されている。精神科領域での統一された定義づけはまだのようだが、ストレスフルな状況や逆境に陥ったときでも、それをはねのけて回復していく力、あるいはその回復過程自体をさすものとされている。

「レジリエノス」が精神医学で最初に使われたのは小児精神医学で、1990年代のことで、未熟児として生まれることや貧困家庭での生活、あるいはトラウマとなってしまうような体験などは、子どものからだの発達や精神保健上のリスクとなる。しかし、リスクを抱えながらも、それに屈することなくはね返す力を持ち、順調に成長できる子どもがいる。ここのような「逆境にもかかわらず、よく社会適応をすること」を「レジリエンス」といったようだ。しかし近頃では、PTSD (心的外傷後ストレス障害)やうつ病などの多様な精神疾患において、予防から治療までの長いスパンで人間本来の回復力を引き出すことが「レジリエンス」だと 理解されるようになってきた。そして、「レジリエンス」 は「こころの病」 の防御因子としても注目されてきている。私は、この場合は「こころの免疫力」のことではないかと考えている……」

 この「こころの免疫カ」については後述します。

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