「わたしのマンスリー日記」第20回 どんな難病でも私たちは諦めない!(その2)さかもと未明さんとの対談SP
パリでの活躍
【谷川】最近パリで絵が入選するなどフランスなどで活躍されていますが、どんな活動をしているのか教えてください。
【未明】パリに行ったのは2017年の6月が最初です。まだ坂道を歩くのが難しくてみんなタクシーでしたが、画家の先生を頼ってまずパリに行き、色んな偶然からモンマルトルのキャバレー(日本のイメージと違い、純粋にシャンソンを聞かせるアーティスティックな場所です)、オ・ラパン・アジル(Au Lapin Agile)を訪ねました。そこで生のシャンソンと本場のショーを見てすっかり虜になってしまい、フランス本場のシャンソンを学びたい一心で、半年ごとに通いました。
フランス語なんて片言しか話せなくて、いくつかのシャンソンの歌詞をカタカナのルビを振って覚えていたくらいなんですけど。やがてオーナーのイヴ・マチューさん(Yves Mathieuさん(2018年当時90歳。今は96歳)に覚えてもらい、遂には雑誌連載のための取材協力のお願いに了解をいただきました。
するとイヴさんの方から、「取材するとなると長いことパリにいることになって、ホテル代が大変だろう。うちには海外からのアーティストを受け入れる部屋があるから、空いているときは住んでいいよ」と言ってくれたんです。金銭的にも助かりましたが、何よりも内側から取材が出来ました。
ラパン・アジルは、アポリネールやピカソ、モディリアーニ、ユトリロ、ロートレック、サティなど、錚々たる芸術家が出入りし、レオ・フェレ、クロード・ヌガロ、ジョージ・ブラッサンなどの有名歌手を輩出した場所です。エディット・ピアフも歌ったし、シャルル・アズナブールや画家時代のセルジュ・ゲンスブール、藤田嗣治も客として常連でした。
【谷川】すごい! 当時からそのまま続いている店なんですか?
【未明】そうなんです。100年以上前の机の落書きとかも古いまま残っていて。皆さんマイクなしで生の声で歌われるので、鳥肌が立つくらいの迫力です。
さて、その当時新進の画家だったピカソたちは、なかなか官展のル・サロンに入選できないので、自分たちでサロン・ドトーヌと言う展示会を立ち上げました。その後の画壇をリードする才能を輩出して、サロンと並ぶ展示会になるんですが、コロナの時期にネットを見ていたら、そこへの出品代行をしている日本の事務所を見つけました。試しに応募してみたら、入選できて。嬉しかったですね。
ちょうどパリでの個展を計画した2021年。その年にはラパン・アジルの取材が実を結んで、芸術新潮で6か月の連載も出来て、いい年でした。