ドン小西さん(ファッションデザイナー)
「FICCE」「YOSHIYUKI KONISHI」「d.k.f」……いずれも世界的に高い評価を受けるファッションブランドだ。デザイナーはドン小西さん。90年代からはマルチタレントとしてお茶の間で見ない日はないほどの活躍を続けるが、その道のりはチャレンジの連続だった。幼い日、実家の呉服屋で見た社会の縮図、飛び出した先で見た光景とは――。鬼才の十代の地図を開いた。
幼少期はどのような環境でお育ちに
僕の父方の家は医者でね、一方で母方は呉服屋を営んでいたんです。着物というものは面白いもので、柄と柄を掛け合わせて着こなすんだけど、意外とこの発想を持たないデザイナーが多いんです。そういう意味では、子どもの頃から自然に和洋折衷のセンスを磨ける環境だったのかもしれないですね。
かなり裕福なご家庭だった
母方の祖父がやり手でね。はじめは小さな呉服屋だったのを、次々と事業を当てて大きくした。そんな理由から、家の中にはいつもかなりの使用人がいて、僕の面倒も見てくれました。甲斐甲斐しく働く丁稚奉公人たちの姿や祖父の実業家としての手腕、その全てが幼い僕の眼に鮮やかに刻まれて。この頃の経験がいわゆる帝王学になって、その後の僕をつくったんでしょうね。
その頃の小学校生活は
その頃通っていたのは特殊な学校で、まず全体で30人くらいしか在籍していなかったんです。教科書も使わない試験的な教育をしていて、授業では大学で習うような内容をやっていたりして――。でもそれがかなり高度な社会性も身に付くカリキュラムだったのか、当時の学友の中にはかなり出世している人が多数いますね。