ドン小西さん(ファッションデザイナー)
難局からの潮目が変わるのはいつ頃
面白いもので必死に動いていると、突然、流れが変わるときがくるんですよ。あるとき、どこかでデザインの噂を聞きつけたのか物凄い量の発注がかかったんです。それまでは、いくら展示会を繰り返しても客はぱったり来なかったのにです。借金もいよいよ膨らんできたし、本当に苦しい状況だったけど、その日をさかいに右肩上がりに好転して。日本一の賞を受賞して一流のデパートに入荷されるようになると、ついには海外にまで認められて。大事なのは願うこと、あきらめないことなんだと実感しました。
若者にメッセージをお願いします
今、僕は大学で講師をしているんですが、匂いや音からイメージして物に投影する、という授業を行っています。現代の若者に欠けているクリエーションを育成する意図があるんですが、その他にも観察力、洞察力など重要な要素をバランス良く伸ばして欲しいですね。
後、日本のいわゆる暗記型の詰め込み教育には個人的には異論がありましてね(笑い)。基本的に人生は我流で良いと思うんですよ。結局、人生は自分の人間力がものをいうので、「とにかくこれに関しては日本一になる!」という気概を持ってやりたいことをやるのが大切です。それで手に入れた自信を支えに生きていく。そのためには、フットワークを軽く保つために気力を充実させて、いつも360度の視界を良好に保つことで社会性を身につける。それが自分の人生に必ず良い結果をもたらすと考えています。
どん こにし 1950年、三重県出身。明星大学理工学部中退、文化服装学院卒業。1981年フィッチェ・ウォーモ設立後、東京プレタポルテコレクション、東京デザイナーズコレクションなどに参加。1991年毎日ファッション大賞、1998年FEC(ファッションエディターズクラブ)デザイナー賞などの多数の賞を受賞し、国際的な評価を得る。テレビ・雑誌等で活躍する傍ら、名古屋学芸大学大学院などで教鞭をとり後進の指導にあたる。
(月刊MORGENarchive2012)