ドン小西さん(ファッションデザイナー)
恵まれた環境を抜け出し、東京へ来られたきっかけは
実はその頃の僕はその環境があまり好きじゃなかったんですよ。それに加えて性格が直情的だったもんですから、思い込んだら一直線。都会を目指したと思ったときにはもう東京の学校に入寮していてね(笑い)。そのとき初めて一般社会に触れることになるんですが、やはり浮いてしまってね。一時は大好きだった勉強も出来ないくらいに落ち込んでしまって……。つらい時期でしたね。
その頃の将来の目標は
両親たちは、将来は医者や研究者にと思っていたようですね。でもぼんやりとだけど、小学生のころから服作りやデザイン、とにかく、ものづくりに興味があったんです。小さい頃にはよく、「大は小を兼ねる」なんて、ダボダボの服ばかり親が買うんですよ。僕はそれが嫌でね(笑い)。切ったり絞ったりミシンを駆使して、納得のいくデザインにして着用していました。中・高校生のころになると、自分のYシャツを作ったり。他にも時計、自販機、様々なものをオブジェとして、デザインや構造に興味を持っていましたね。
デザイナーデビューのきっかけは
大学卒業後ロンドンに行ったんですが、まだやりたいことが具体的には固まっていなかったんです。音楽もやりたいしファッションもやりたい。もっと言えばとにかく人に感動を与えることがやりたかったんですね。とはいえ何もかも一足飛びにというわけにはいきませんから、とりあえず服飾の会社で働くことにして。ところがそこが常時人不足な会社でね、なにしろ新人の僕がいつのまにか人事まで関わっていたりして(笑い)。
胸の奥に燻る感情はあったけど、その頃には既に子供がいて一家の大黒柱でしたから簡単に会社を辞める選択肢はなかったんです。でもその後結局、清水の舞台から飛び降りる覚悟で独立したんですが、当然のように受注先もなく先行投資の嵐で。とにかく我流でがむしゃらに乗り越えていきました。