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「こころの病も心身一如の自然治癒力」―季節性うつ病から双極性障害を自ら体験して― 第9回 「病跡学」と「こころの免疫力」
私のあまりにもひどい落ち込み、ひきこもりに対し、妻は「どうにかせんと!」とふるい立ち、行動を起こしました。
夜になってから、友達の海辺のペンションに連れ出し、とりあえずビール瓶を私の大ジョッキに傾けると、「カラォケ で思い切り気持ちをはき出しなさい」と命じました。
最初に選曲したのは、ザ・ブロード サイド・フォー『若者たち』 です。
「君のゆく道は、はてしなく遠い。だのになぜ歯をくいしばり君はゆくのか。そんなにしてまで……」
共感を覚えたこの一曲で、翌朝目覚めたとき、頭の中から自死念慮がすっかり消え去り、逆境力がみなぎったのでした。妻は一度ならず幾度もの命の恩人で「お宝のーちゃん」と呼んでいます。まったくもって「言葉は薬」 です。
このときの経験から当庵は「カラォケ療法」を取り入れています。とは言っても、診療室でやったり、2Fの居間に上がってもらって歌うのではなくて、積極的にカラオケに行くことを助言しています。
――つづく
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小松 健治 こまつ けんじ 1944年広島県呉市生まれ。島根県江津市桜江町川越育ち。順天堂大学医学部を卒業後、島根県益田日赤病院胸部外科部長を経て、現在、人間に完璧に備わっている「自然治癒力」・免疫力を尊重し、日常生活即医学ととらえた自助療法を主体とした「あうん健康庵」庵主、総合診療医。実証主義に基づき「生血液細胞・栄養分析法」(Live Blood Analysis、LBA)を用いて「千島学説」の実証に努める一方、血液循環療法やオルゴン療法の効果に注目、その医学的解明にも取り組んでいる。 著書・論文に『最後の療法』(越野稔との共著、幻冬舎)、『医者が学んだ祈りの力』(幻冬舎)、「革新の体液循環論」(『血液と循環』第7号、血液循環療法協会)、「『自然栽培』と『自然医療』の共生を目指して」(『螺旋』16号、千島学説研究会編)など。
(モルゲンWEB20250131)