「こころの病も心身一如の自然治癒力」―季節性うつ病から双極性障害を自ら体験して― 第9回 「病跡学」と「こころの免疫力」
こころの免疫力をつけること ――一度自死念慮を抱く
『躁うつ病はここまでわかった』加藤忠史不安抑うつ臨床研究会[編](日本評論社)の、「古くから存在した躁うつ病」と題してから引用します。
『たとえば、有名な画家であるゴッホは、 一説によると、躁うつ病であったといわれています(異説もありますが)。躁うつ病は古くからある病気で、それこそギリシャ・ローマ時代から存在していました。
作家や芸術家などが、たとえば心の病にかかっていて、心の病とその人の作品がどのような関係にあるか、どういうところに影響が現れるか、といったことを調査研究する「病跡学」という学問があります。
この病跡学によると、躁うつ病に関してもいくつかのことがいわれています。宮沢賢治の「注文の多い料理店」という有名な作品がありますが、あれは躁状態のときに書かれたものだという説があります。また、診断的にはいろいろ問題はあるかもしれませんが、夏目激石も「吾輩は猫である」を書いたのは軽躁期であったともいわれます。