
「わたしのマンスリー日記」第23回「ウォーリーをさがせ!」―勇気の波紋
『ウォーリーをさがせ!』
その昔『ウォーリーをさがせ!』という絵本が大ヒットしたことがあります。この本は1987年にイギリスのイラストレーターのマーティン・ハンドフォードによって書かれた絵本で、原タイトルは『Where’s Wally?』でした。全世界で7000万部も売れたというのですから驚きです。日本ではフレーベル館を版元として出版されました。
原理はいたってシンプルで、見開きで描かれた絵の中にウォーリーという青年がどこかに密かに描かれていてそれを探すという構成でした。絵はさまざまな場面を克明に描いたもので、その中に小さく描かれたウォーリーを探すというものですが、その単純さが子どもたちに受けたのです。私が驚いたのは、巻末に「皆さんはウォーリーをいくつ見つけられましたか。見つけられなかったらもう一度探してみましょう」という趣旨のことが書かれていて(詳しい文言は忘れました)、何度も繰り返し読ませてしまうのです。世界にはこんなアイデアを生み出せる絵本作家がいるんだと感心しました。
中3に成長した子どもたち
今なぜ『ウォーリーをさがせ!』なのかについては、いささか説明をする必要があります。
私は4年前に出した『日本列島 地名の謎を解く』(東京書籍、2021年)の中で大分県の「姫島(ひめしま)」を取り上げたのですが、それが機縁で大分市立判田小学校の6年生との命の交流が生まれました。その一部始終については『夢はつながる できることは必ずある!-ALSに勝つ!』(東京書籍、2022年)に書きました。一介のALSという難病と闘う老人と小6の児童たちとのやり取りは、それこそ常識では考えられない奇跡でした。
この奇跡を演じてくれたのは当時判田小学校6年の学年主任をされていた石井真澄先生でした。石井先生は学年集会を開いて難病と闘いながらも本を書き続ける私のことを紹介したそうです。たくさんの励ましの手紙やビデオレターが届きました。子どもたちからの率直な思いが込められたメッセージを読んで涙が止まりませんでした。写真は判田小6年時の子どもたちです。(『夢はつながる できることは必ずある!-ALSに勝つ!』東京書籍、2022年)
