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加藤 登紀子さん(歌手)

日本は3 ・11 をきっかけに変わっていくとお考えですか

 変わっていかなければいけないと思います。以前ある番組で訪問した小学校の6年生が「遊ぶことが私の夢」なんて言うんですよ。そんなに遊ぶ余裕もないんだな、と。他にも野球をしていた子に話しかけたら「外野手にしかなれないかもしれない」と落ち込んでいるんですよ(笑い)。みんな、こんなに小さなころから追いつめられてるのかって驚いたわね。大人になってからのことなんて心配しないでもっと子供時代を楽しんでほしいなと思いましたね。人生は長いし無駄なことは何もない、もっと好きに生きて欲しいです。

加藤さんはどのように今の時代と付き合っているのでしょうか

 ネットが苦手で携帯電話のメール機能すらもてあましていた私ですが、2年半前からツイッターを始めたんです。これが意外に面白いんですよ。 せっかくネットでつながれるのに何か糸口が欲しいな、と思ってね。重過ぎず軽過ぎない見知らぬ方たちとのつながりやバイオリズムをつくるルーチンワークへの活用など、魅力的でハマっています(笑い)。情報の多さに目は泳ぎますが、使いこなせれば楽しさも必ず見つけ出せますよ。

最後に今を生きる若者にメッセージをお願いします

 冒頭で批判気味に情報の氾濫を引用しましたが、若い人はこれら沢山の選択肢の中から柔軟な発想で、時代の機微を読み取り、かつ自分の足元を見失わないようにすればとても楽しいやりがいのある人生を送れる時代だと思います。是非頑張って欲しいですね。

かとう ときこ 1943年ハルビン生まれ。1965年東大在学中に第2回日本アマチュアシャンソンコンクールに優勝し歌手デビュー。「ひとり寝の子守唄」「百本のバラ」「知床旅情」など数多くのヒット曲がある 国内タにの歌手活動を行っており、カーネギーホールでの2度のコンサートを成功させ、92年にはバリのラ・シガール劇場でのコンサートが認められ、フランス政府文化勲章「シュバリエ」が贈られる。歌手としての活動のほか、女優として1983年「居酒屋兆治」などに出演。2000年より2011年の任期満了までUNEP(国連環境計画)親善大使としてアジア、オセアニア各地を訪問、地球環境の現状を伝えるほか、音楽を通じた交流を重ねる。また、千葉県鴨川市の農園「鴨川自然王国」を拠点に循環型社会の実現に向けた活動を続けている。近著に「スマイル・レボリューション3・11 から持続可能な地域社会へ」(白水社)、「命を結ぶ 加藤登紀子・対談 」(中央法規出版)など。ニューアルバムは「命結ーぬちゆい」(ユニバーサルミュージック)。http:/www.tokiko.com/

(月刊MORGENarchive2012)

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