新連載「対話的探求への招待――哲学すること、対話すること」著者のことば

 4月から始まる連載「対話的探求への招待――哲学すること、対話すること」に先駆けて著者のことばを掲載します。下記の文章は2024年度に行われた講義「農と食の哲学」のガイダンス資料になりますが、常日頃、教育者として教壇に立つ著者の姿勢や教育思想が読み取れる内容になっています。

 連載の内容は「A 哲学と対話」「B プラトンの対話篇を読む」「C 対話的探求の実践」の3部構成を予定しています。

「こんにちは。静岡大学の竹之内裕文です。わたしは授業を対話の場と捉えています。一方通行のレクチャーはいっさい行いません。本務先の静岡大学はもとより、非常勤先(今年度は東北大学文学研究科のほか、同 農学研究科、福島医大、静岡県立農業環境大学、静岡県立看護学校、清水助産学校)でも、すべての授業を対話形式で進めています。 どんな考えをもとうと、それは一人ひとりの自由です。考え方はむしろ異なっていた方がおもしろい。ただ対話が成り立つためには、共通の問いのもと、各人がなぜそう考 えるのか、理由や背景を他の参加者と共有する必要があります。」

竹之内 裕文(たけのうち・ひろぶみ) 静岡大学未来社会デザイン機構副機構長、農学部・創造科学大学院教授。専門分野は哲学・死生学。東北大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(文学)。東北大学大学院文学研究科助手、静岡大学農学部・創造科学技術大学院准教授を経て、2010年4月より現職。ボロース大学(スウェーデン)健康科学部客員教授(2011-12年)、グラスゴー大学(英国)学際学部客員教授(2022年)、松崎町まちづくりアドバイザー(2022年-現在)。「対話」と「コンパッション」を柱に、国内外で広く活躍している。死生学カフェ、哲学塾、風待ちカフェ、対話・ファシリテーション塾などを主宰する。団体コンパッション&ダイアローグ(一般社団法人化を予定)代表。『死とともに生きることを学ぶ 死すべきものたちの哲学』(ポラーノ出版)により第14回日本医学哲学・倫理学会賞を、研究発表「『死』は共有可能か? ハイデガーと和辻との対話」により第8回ハイデガー・フォーラム渡邉二郎賞を受賞。

(モルゲンWEB20250311)