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海南 友子さん(ドキュメンタリー映画監督)

NHKを退職されたときに迷いは

 NHKでは、実際に社会に何かを発信する方法や、仕事としていかに形にするか、など具体的な現場を学ばせてもらって感謝していました。ただ人生は 度きりですし、迷いはなかったですね。幼い日の父の教えの通り5ヵ年の計画をたてると、思い切って飛び出して。

映画「いわさきちひろ~27歳の旅立ち~」について聞かせてください

 絵本作家のいわさきちひろの生涯を追ったドキュメンタリーです。誰もが知る著名人の知られざる苦悩や挫折には、メガホンを撮った私自身も新鮮な驚きを感じましたね。戦争を背景に生み出された彼女の作品群は、柔らかいタッチの中にも救いを欲する痛切なおもいが垣間見えて……、どこか原発事故以来の日本の風景に重なる部分があります。ぜひ映画を鑑賞した後に、もう一度彼女の作品を味わってほしいですね。

今後取り上げていきたいテーマは

 3・ 11以降福島に通うことが多くなっています。今回の原発事故は、東京で暮らしながらも原発由来の電力の恩恵を受けてきた私にとっても深く責任を考えさせられる問題です。難しいところはありますがドキュメンタリーで表現していけたらと考えています。

青春を生きる若者へメッセージをお願いします

 現代はインターネットの普及が進み、間接的に体感できることが増えています。しかしやはり実際に生の体験で得られる情報は貴重です。私は大学在学中、ほとんど教室の机にはいませんでしたが(笑い)、旅をし、人に出会い、社会を知り、疑問を得る、それを読み解くために書物をあさり、また旅に出る――。若いうちにできるだけ世界を肌で感じる経験を増やすことが大事だと思っています。

かな ともこ 1971年東京生まれ。日本女子大在籍中に、是枝裕和のテレビドキュメンタリーに出演したことがきっかけで映像の世界へ入る。大学卒業後はNHKに入局する。報道ディレクターとしてNHKスペシャルなど環境問題の番組を制作。2000年に独立。インドネシアの戦争被害者を取材この作品は、山形国際ドキュメンタリー映画祭での特別上映を経て劇場公開。04年「にがい涙の大地から」で黒田清・日本ジャーナリスト会議新人賞を受賞、台湾国際ドキュメンタリー映画祭正式出品。優れた女性作家や活動家に贈られる平塚らいてう賞も受賞。09年気候変動に揺れる3つの島、ツバル、ベネチア、シシマレフを描いた映画「ビューティフル アイランズ~気候変動沈む島の記憶~」はプサン国際映画祭でアジア映画基金AND賞受賞。2010年米韓でロードショー公開される。

(月刊MORGENarchive2012)

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