
鹿島田 真希さん(小説家)
今を生きる若者へメッセージをお願いします
学生の頃、現実を過ごす「教室」という空間は実はとても狭い世界です。ですから、それを自分の世界の基準にしないで欲しいですね。窓の外に見える景色の更に向こうには、とても広い世界が広がっているんです。そしてそこには必ず自分の価値を認めてくれる人間や環境があるはずです。クリスチャンになる以前から、私の内には性善説にも似た人に対して肯定的、ポジティブな想いがありました。受洗し人間の内包する愛情を実感した後にそれは確信へと変っていきましたが、愛と自由を手にして人生を謳歌して欲しいと願っています。
かしまだ まき 1976年、東京都生まれ。98年『二匹』で第35回文藝賞を受賞。2005年『六〇〇〇度の愛』で第18回三島由紀夫賞、07年『ピカルディーの三度』で第29回野間文芸新人賞を受賞。2012年『冥土めぐり』で第147回芥川賞を受賞。その他の著書に『レギオンの花嫁』『一人の哀しみは世界の終わりに匹敵する』『白バラ四姉妹殺人事件』『ナンバーワン・コンストラクション』『女の庭』『ゼロの王国』『黄金の猿』『来たれ、野球部』などがある。
(月刊MORGENarchive2012)