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柴 幸男さん(劇作家・演出家)

大学時代に『ドドミノ』で仙台市、まち戯曲賞を受賞されます

『ドドミノ』の舞台は大学内のプレハブで、舞台上をドミノで埋め尽くしてはしゃぐ学生たちの無邪気な姿に、終わらない夏――、青春を投影したというのがコンセプトです。それまで個人的な想念として内向していた世界観が、受賞によって客観的評価を受けたことは、この道で生きようともがく僕にとってこれ以上ないエールでしたね。この時の審査員の一人だったのが、現在(2012年当時)、青年団演出部でお世話になっている平田オリザさんなんです。平田さんは「審査で迷ったときは若い方を推す」という矜持を掲げられていて、僕の受賞を後押ししてくれたわけですが、このとき受けた鮮烈な印象が、会社と劇団を辞めて次のステップを探していた僕の道標になりました。ネットでオリザさんの演出部募集を知った僕はすぐに入門を決めると、劇場、演劇、作品の歴史、バックヤードなど、それまで触れてこなかった踏み込んだ知識を身につけていったんです。

平田オリザさんとの出会いがターニングポイントだった

 そうですね、平田さんは演劇に信念がある人です。演劇に関わる人間だけの閉じた世界観が主流のワークショップでさえも、いかに演劇を知らない人や社会に発信し巻き込んでゆくかを常に目標にしている。そういった拡張性の高い発想は常に刺激になっていますね。単純に面白いものを作って沢山集客することだけが必ずしも成功というわけではないんです。オリザさんの傍にいると、そういう景色が自ずと見えてくるんですね。

今後どんな演劇活動を

 いま興味があるのは、どこかの田舎町で三年くらい住んで、そこに僕らがその土地に演劇を作るということをやってみたいと構想をふくらませています。環境としては山と川があるような所がいいですね。

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