
柴 幸男さん(劇作家・演出家)
今の子供たちにメッセージをお願いします
今僕は全国各地の中・高校で演劇の演出やワークショップを行っているんです。目的は、できるだけ演劇のない地方の学校に多く関わって、演劇の裾野を広げることです。そんなとき感じるのは、”どんな場所や地方にも個性がある”ということですね。僕自身、今の道を選択したのは性格による向き不向き――つまり、僕自身の個性が大きく関わっています。演劇の世界が好きだったのは紛れも無い事実だけど、安定と引き換えに満員電車に揺られ続ける職業に向かなかったのもまた事実です。逆に僕の父のようにサラリーマンが向いていて、不安定な毎日のストレスに耐えられない人も多くいると思うんですね。自身の性格と個性を正しく捉えて、”好きなこと”、”向いている職業”を仕事にしていって欲しいと思います。

しば ゆきお 1982年愛知県生まれ。劇作家、演出家、ままごと主宰。「青年団」演出部に所属する。日本大学芸術学部在学中に「ドドミノ」で第2回仙台劇のまち戯曲賞を受賞。2010年「わが星」で第54回岸田国士戯曲賞を受賞。あいちトリエンナーレや精華演劇祭への参加。岐阜県司児市での市民劇の演出、福島県いわき総合高校での演出など、全国各地で行う。2011年には「わが星」を全国6都市で上演。またコラムやエッセイ、ドラマ脚本など、演劇外の活動も多岐にわたる。
写真:西場 誠志
(月刊MORGENarchive2012)