
「わたしのマンスリー日記」第27回 亡き妻・憲子への想い(その2)・・・ それでも生きる!
谷川先生
先生のご挨拶文を読ませていただきました。お二人の絆の深さに感動し、これだけ深い夫婦生活を送られたことを羨ましくも思いました。先生の人生も奥様の人生もお二人で共に歩む必然性があったのだとしみじみ感じました。
こんなことを申し上げるのは馬鹿げていると思われるかもしれませんが、私はいくつかの経験を通じて亡くなった方の魂が留まっていると信じています。奥様は今もそばに寄り添って先生が駅におつきになる頃には2、3歩先に進み、
待っていたふりをなさるのではと思っています。今後の先生の執筆活動をそばで見守っておいでです。
こんなありきたりの慰めに聞こえるかもしれない表現しか出来ず悔しいですが、どうかアホな霊能者の言うことを信じていただければ嬉しいです。
どうかお体に気をつけて奥様が喜ばれるような活動を積み重ねていただけますよう期待しております。
里中満智子先生(マンガ家)
里中先生はちばてつや先生と並んで私の最大の理解者であり、支援者のお一人です。葬儀に際しては特大の献花を頂戴し、謹んで霊前に供えさせていただきました。ありがとうございました。私は返信に次のように書きました。
「里中満智子先生 生涯初めての落ち込みでしたが、先生を始めたくさんの励ましのメッセージをいただき、徐々に気持ちを取り戻しつつあります。エンジン01加賀温泉もとても無理と諦めていましたが、一念発起して参加することを決めました。プログラムは来月できるようですが、申請した講座名は「難病 でも私は諦めない!―生きる勇気の波紋」としました。登壇者は里中先生、さかもと未明さんと私です。ナビは私の状況を知り尽くしている岡田直也さんにお願いしました。
先生、どうか体調を整えてご参加ください。約束ですよ。よろしくお願いします。谷川彰英」
そしたら次のようなメールが返ってきました。
「はい!!!!! 先生が来られないなら私もやめようと思っていたところですが、そういう事ならなんとしても行きます!!! 楽しみです。よろしくお願いします! 里中満智子」
日本のマンガ界の旗手の里中先生にこう言わせてしまうなんて、我ながら凄いことだと痛み入りました(笑)。
里中先生、「アホな霊能者」なんてとんでもない。私は今「亡くなった方の魂が留まっている」を実体験しています。妻が急逝した時は胸半分をもぎ取られるような喪失感に苦しめられましたが、今は違います。遺影そのままの笑顔で私の胸の中で美しく輝いています。私は思うのです。荼毘に付されて滅んだことが現実だとしても、残された者たちの心に永久に魂は留まる。それは「真実」だと思うのです。
そして人の魂は「精神」となって時空を超えて伝えられていく。そう言い切れる背景にはそれなりの根拠があります。私の学問観、教育観、それに基づく地名研究は柳田国男先生の精神を継承したものですが、実を柳田先生には一度もお会いしたことはありません。私が高2の時先生は他界されているからです。でも先生の魂と精神は私の心の中にしっかり息づいています。
これからも本の執筆を続けますが、これは憲子と共有した魂を精神に昇華させるための営みと言っていいでしょう。そうである以上憲子の魂は私の心の中に生き続けます。
