『あっ! 命の授業』

ゴルゴ松本/著

廣済堂出版/刊

定価1,404

日本は言霊の国言葉に宿る不思議な力

 バラエティ番組をあまり見ない私でも、お笑いコンビTIM(ティーアィエム)のゴルゴ松本が体で文字を表現する「命!」というギャグは知っている。ただ最近、テレビで見かけなくなったなあと思っていた(私が見なかっただけかもしれないが)。

 本書カバーの著者紹介を見ると『数年前からは少年院を回って話をするようにもなり、その活動がテレビや新聞・雑誌、You Tube (再生200万回超)等で話題となる」とある。テレビ以外にも活動の場を広げていたのだ。

 日本は言霊の国だと著者は言う。言霊とは言葉に宿る不思議な力のことだ。日本では古代から、口から出た言葉はそのとおりになると信じられていた。良いことを言えば、良いことが起こると。そして著者は他にも、日本語のスゴイところに気づく。

 この本では、普段私たちが何気なく使っている漢字や言葉を、著者独自の考え方で実に前向きに解釈している。読んでみれば「ああ、そうか」と思うが、自分ではなかなか思いつかない。そういう考え方もあるのか、と感心させられる。それだけ著者は多くの時間をかけて漢字や言葉と向き合い、様々な解釈ができる日本語の懐の深さにも気づいたのだろう。『せっかく日本に生まれてきたんだから、漢字を有効に活用したら、もつと楽しい人生が訪れると思うんです』(五二頁)という言葉が印象的だ。

 ゴルゴ流解釈では、漢字を使って物事を前向きに捉えるヒントをたくさん紹介してくれている。大事なのはひとつの考えにとらわれず、見方を変えること。毎日がちょっとしんどいと思っている人、これを読んだら少し、気持ちが楽になるかもしれない。

(評・長野県赤穂高等学校学校司書 片桐亜希子)

(月刊MORGENarchives2015

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