
「わたしのマンスリー日記」第28回 ドクターからのファンレター
「伴走」という言葉に正直うなりました。大きなハンディを負った私は一人では生きていけません。その上、この4月唯一の「伴走者」であり命の「司令塔」だった妻を亡くしました。運命の残酷さを呪いました。絶体絶命のピンチでした。でも私はそれでも前を向いて走るしかありません。悲しみの壁を超えて走り始めたばかりでした。そんな中の三浦先生の「伴走」宣言のファンレターでした。涙にくれました。
思い描いたのはパラリンピックのマラソン競技でした。幾度も倒れながらも何とか乗り越えて走り続けてきましたが、今回こそはダメと観念しました。でも伴走者がいれば再びゴールを目指すことはできますよね、三浦先生!
私はかねがね、警察官は国民・市民の命と正義を守る「医師」だと考えてきました。是非国民・市民の「伴走者」になってください。それが私たちの願いです。
(本稿は全国の警察官向けに発行されている月刊誌『BAN』2025年8月号の巻頭言として書いたものです)


谷川 彰英 たにかわ あきひで 1945年長野県松本市生まれ。作家。教育学者。筑波大学名誉教授。柳田国男研究で博士(教育学)の学位を取得。千葉大学助教授を経て筑波大学教授。国立大学の法人化に伴って筑波大学理事・副学長に就任。退職後は自由な地名作家として数多くの地名本を出版。2018年2月体調を崩し翌19年5月難病のALSと診断される。だが難病に負けじと執筆活動を継続。ALS宣告後の著作に『ALSを生きる いつでも夢を追いかけていた』(2020年)『日本列島 地名の謎を解く』(2021年)『夢はつながる できることは必ずある!-ALSに勝つ!』(2022年、以上いずれも東京書籍刊)、『全国水害地名をゆく』(2023年、集英社インターナショナル)がある。
(モルゲンWEB20250811)