「わたしのマンスリー日記」 第30回 加賀遠征―「史上最大の作戦」(The Longest Day) その1「ようやくあえた」―涙の初対面!!

 もちろん戦場に臨むのですから一命を賭する覚悟はできていました。 もう半世紀も昔の話です。千葉大学に赴任して間もなくの頃、何とはなしに「どうせ死ぬんだったら、座して死を待つのでなく、教室で学生たちに何か訴えながら死にたいな」と考えたことがあります。何もせずに死を待つよりも何かにチャレンジして命を全うする方が自分らしいなと考えたのです。

 現に私のように人工呼吸器を付けているALS患者は、一瞬で死の奈落に落とされるリスクを抱えているのです。そんな危険を冒してまでなぜ加賀行きを決意したか、ですね。それは私が「生きるとは、人と人がつながることだ」と確信していたからです。今の私にはエンジン01で知り合えた仲間たちとともに活動することが生きがいですし、そんな素敵な仲間たちの笑顔が見られるならたとえ死ぬことになっても悔いはないとさえ思っていました。

 9月5日の早朝7時に千葉市の自宅を出発し、帰宅したのは翌日の深夜26時(7日午前2時)でした。この43時間の間にさまざまな人との出会いの感動があり、思わぬアクシデントありの文字通りのThe Longest Dayとなりました。

「ようやくあえた」―涙の初対面!!

 あいにくその日(9月5日)は西日本から関東地方にかけて台風15号が襲いました。神奈川県を過ぎて静岡県に入ったあたりから猛烈な豪雨に見舞われ、このまま加賀まで無事たどり着けるか危ぶみもしました。しかし昼食をとった浜名湖に差し掛かった頃には台風一過、嘘のように青空が広がってきました。

 ホテル「みやびの宿 加賀百万石」に着いたのはちょうど夕方の6時でした。途中昼食で1時間割いたとはいえ、11時間に及ぶ長旅でした。その間ずっとストレッチャーに縛り付けられたままでしたので、体に異変が起こらないはずがありません。ロビーについて車椅子に乗り換えた時、呼吸不全に襲われました。

 ロビーでは山口小百合さんが出迎えてくれました。2024年1月にコロナに感染して死ぬほどの苦しみにあえいでいた時、「死なないでください! 地獄で共に花を咲かせましょう」と励ましてくれた「戦友」です。山口さんと会うのも今回の加賀遠征の楽しみの1つでした。

 初対面は感動そのものでした。山口さんはそのことをFacebookに投稿してくれました。

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