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井乃脇 海さん(俳優)

映画『月子』について聞かせてください

 知的障害を抱える女の子を孤独な青年が家に送り届けるロードムービーなんですが、普段シネコンでかかっている、いわゆる”劇映画”とはひと味もふた味も違った味わいがあります。僕自身、演じながら感じていた事ですが、本当にドキュメンタリーに近いところでお芝居ができたな、と思っていて、僕の演じた孤独な青年に宿る外的な孤独と内的な孤独──、とりわけ内的な孤独は、日々、街ですれ違う人のほとんどが抱えているんじゃないかと思うんです。この映画には、そういった誰もが共感できる普遍性のある場面が沢山でてくる。そういうところを注目して見てもらえればと思います。

将来はどんな俳優に

 いまは映像作品の現場にいることがとにかく楽しい。だから、ひとつでも多くの作品に関わってゆくのが目標です。僕の周りの役者さんには「俳優になりたいから映画にでる」「売れたいからテレビにでる」という人がわりと多いですが、そこは僕は逆で、「一本でも多く関わるためには売れなきゃいけないな」と思っている。ある種自分のためというか……、自分が楽しむためにやっているところがある。でも、もちろんその結果、ちゃんと良いものが出来て、見たお客さんが楽しんでくれればそれが一番なんです。

いのわき かい 1995年、神奈川県生まれ。子役として活動を始め、2007年『夕凪の街 桜の国』で映画初出演。2008年『トウキョウソナタ』でキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞および高崎映画祭新人俳優賞を受賞。映画・TVドラマで活躍する一方、2014年には日本大学芸術学部へ進学。今年はNHK連続テレビ小説『ひよっこ』、大河ドラマ『おんな城主 直虎』(10月以降出演)、映画『海辺の生と死』(公開中)、主演映画『月子』(公開中)など話題作への出演が続く。

(月刊MORGENarchives2017)

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