
井乃脇 海さん(俳優)
学業との両立に難しさは
小学3年生で劇団に入って、最初の頃はまだ学校にもちゃんと通えていましたが、5年生頃から次第にオーディションが忙しくなり始め、休みがちになって。みんなが遊ぶのを横目にひとり通り過ぎるのはやっぱり寂しさかったですね。それでも、やめたいとは一度も思いませんでしたね。その頃はまだエキストラとしての出演も多かったんですけど、とにかくすべてが楽しくて。環境に馴染んで来たのか周りが見え始め、なんとなく他の役者さんの演技を目で盗んだりもして。
勉強への意識は
小学6年生のとき出演した『トウキョウソナタ』という映画が本当に人生を変えたと思います。役づくりのためにピアノの練習が必要になって、それこそ週4とか5で新宿にレッスンに通うんです。当然、もう学校にはまったく行けなくなって。それで、さすがにこのまま普通の中学に行くのはマズいと、急遽、進路を変更して芸能の学校に行くことにしたんです。その甲斐あって、進学先では先生方の協力にも助けられ、勉強との両立がスムーズにいって。

その頃には将来の目標も
そうですね、『トウキョウソナタ』では、監督の黒沢清さんの演出などを目の当たりにして強く心を動かされた。「いいなあ、自分のやりたいことはこれだな……」と。そこで進路も変えたので本当にすべてが変わりましたね。
日大芸術学部に進みます
映画学科なんですけど、入試ではお芝居を見せて、在校生が制作した映画の感想文を書いたりと、今まで頑張ってきた貯金のようなもので入ることができた。だからあまり受験勉強はしていないんです。大学では、同じ芸術学部でも写真学科など他学科生との交流が面白いですね。暗室とか今まで入ったことがなかったので。水銀もはじめてちゃんと見たり。結局、芸術には関連するんだけど、映画以外に触れると視野が広くなる。そういうのはやっぱり来てよかったなと思いますね。
