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『名画は嘘をつく』
木村 泰司/著
大和書房/刊
定価799円
絵画鑑賞の新たな視点
絵画鑑賞の新たな視点絵画には一般的な解釈だけでなく、その作品にまつわる歴史的背景や作家の裏話などが存在します。
学生の頃、西洋美術史や美術鑑賞論等の授業の中で、それらの裏話を聴き、作品への多角的な見方が深まり、より興味・関心を高めることができたことを記憶しています。
本書は「タイトルの嘘」、「王室の嘘」、「画家の嘘」等、全10章からなる「名画の嘘」で構成されており、それぞれの章立てだけでも興味深い内容です。
誰もが目にしたことがある作品から、馴染みが薄いと思われる作品まで全125点と多岐にわたり、鑑賞者を自分が知らなかった西洋美術史の新しい世界に引き込んでくれることでしょう。
絵画を鑑賞する時、作品とタイトルを見れば、どのような場面が描かれているかある程度は想像ができるとは思います。しかし、実はそれは大きな問違いであるということを教えてくれます作家が絵画に込めた思い「嘘」を知ったとき、作品への新たな視点に気づき、絵画を見る楽しみが増えるはず。
また、絵画はよく分からないという人も大丈夫。歴史の教科書では見たことがあるという作品も多数掲載されています。「自分が習った知識が実は違っていた!?」という新たな発見があり、それも楽しみの一つになるでしょう。
最後に蛇足のようですが、カラーの画集は高価でなかなか手が出ないものも多い中、図版がオールカラー印刷で値段も手頃というのも、この書籍の大きな魅力の一つだと思います。
(評・新潟市立潟東中学校教諭 甲田 小知代)
(月刊MORGENarchives2014)
