
『ぼくはナチにさらわれた』
A トヴァルデツキ/著 足達 和子/訳
平凡社/刊
定価1,512円
「技致」は永遠の大罪です
この本は、どうしても多くの生徒に読んでほしくて著者語りのスタイルで紹介します。幼いころの柔らかな著者の心に添いながら。
「ぼくの人生に起ったことを伝えたい、できるだけ多くの人に。ぼくは、ポーランド人です。ドイツ人として生きた日もある。そこが問題なんだ。だいぶ年をとりました。だから話せる。いや、話して置かなければならない。断っておきますがこれは小説ではありません。ぼくの人生に起きたこと、全てが真実です。ぼくはポーランドのごくありふれた家庭に生まれた。本の表紙に載っているのが二歳のころのぼく。幸福な人生が予感できそうでしょう。なのに、希望に満ちた人生が始まったばかりの4歳の時、ぼくはナチにさらわれた。青い目で金髪だったから。将来ドイツを担う優秀なドイツ人として養成されるためにね。それを考えたのはヒトラーとその側近で人種政策を実行したハインリッヒ・ヒムラー。さらわれたぼくはドイツの施設に収容された後、子どものいないドイツ人の家庭にもらわれ、ナチス礼賛の少年時代を過ごした。11歳になったある日ぼく以外の家族が知っていた真実を告げられた。自分はこの家族の養子で、本当の家族はポーランドいると。ぼくはポーランド人だと。ここから全てがはじまった。二つの国と二つの家族のはざまで揺れながら複雑な人生を生きてきた……。」
そして著者は今、国家による犯罪としての 「粒致」が起きてはならない、と声を上げるのです。粒致の傷みはここにもある。返してください、めぐみさんを、技致したすべての大切な日本人を。
粒致は、永遠の大罪です。
(評・千葉県立印格明誠高校学校図書館司書 山中 規子)
(月刊MORGENarchives2014)
