
矢部 太郎さん(お笑い芸人)
漫画を選んだのはなぜ
いままで漫画こそ書いてこなかったものの、絵は好きだし描けるとも思っていた。というのも、舞台のネタで使うフリップの絵や、ポスターを書いたりするのは僕が担当していたんです。だから自信がないではなかったけれど、展開が急なのには驚きました。ビックリしていまもフワフワしてます。漫画家のフリしてるけどコレいつバレるんだろうって(笑い)。
お父様は喜ばれたのでは
父はやっぱり喜んでくれましたね。あんまりお笑いの仕事ではないような反応でした。いっぱい本も買ってくれて、いろんな人に配ってくれました。付き合いのある絵本の出版社にも紹介してくれて、そこから連載も1本取ってきてくれました。ほかにも父と二人で講演会に行く、というような仕事も取って来たりして(笑い)。そういえば、父の絵本て、どちらかというと「紙芝居」に近いんです。僕の漫画のコマ割りも、ずっと同じものが続くんですが、そういうのは父の影響が色濃く出てるのかもしれませんね。
作品についてひとこと
父の絵本の記憶、それに『電波少年』というドキュメントバラエティーで得た経験が、自分の現在を客観化したり、ああいうユニークな大家さんを捉える視点を持たせてくれたんだと思います。そう考えるといままでのすべてがいまに生きているのかもしれない。
今後の目標は
目下、続編を出すべく、週刊新潮で鋭意連載中です。週刊連載というのもなかなかできない経験なので、「いま自分、週刊でやってる」と楽しんでいます。なるべく土日でやろうと思っているので、いまは劇場の出番を終えると家に帰って漫画を描くという生活ですね。こんなに働くチャンスもそうそうないことだと思うので、チャンスと捉えて取り組んでいます。あとひとつ、漫画を描くようになって良かったことがあります。舞台で滑ったり、仕事がうまくいかないとき、いままではひとり悶々としていたけど、いまは、「ああ、もうコレ漫画に描けばいいや」となる。発散できる。これは凄く楽になります。同じようにラジオとテレビをそういうふうに上手に使う人を見るので、自分もそういうふうになれればいいな、と思います。
やべ たろう 1977年、東京都生まれ。東京学芸大学中退。1997年、入江慎也とお笑いコンビ「カラテカ」を結成(ボケ担当)。近年は芸人としてだけではなく、舞台やドラマに俳優としても活動の幅を広げている。2017年、初の漫画作品『大家さんと僕』を発表。2018年、同作で第22回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。
(月刊MORGENarchives2018)
