『すっきり!わかる集団的自衛権Q&A』

浅井 基文/著
大月書店/刊                                                        定価1,620円

集団的自衛権の立場を明確に迫る本

 集団的自衛権の問題が、憲法改正問題と絡んで、多くのメディアでも報道され、国内外で大きな議論や論争を生んでいる。だが、それは、多くの国民にとって、普段の生活との関わりがみえにくく、わかりにくいテーマであろう。

 本書は、その問題について、懇切丁寧に描いている。著者は、戦後の国際社会における日本の立場を実際に経験した元外務官僚であるが、そこには、その経験や知見が遺憾なく発揮されており、集団的自衛権をとりまく多種多様な問題や課題が扱われている。例えば、 「戦後日本の平和と繁栄と世界」、「国際的・軍事的貢献」、「対国連協力」、 「安保か憲法か」、「憲法解釈」、「集団的自衛権」、「第二次世界大戦前後の国際社会の認識とその後の流れ」、「アメリカの軍事政策と日米同盟およびその変化」、「中国や北朝鮮の脅威」などである。このことからも、集団的自衛権の問題が、実は非常に広がりがあり、大きな問題であることがわかる。これだけ多面的に説明している類書は他はないだろう。他方、多くの問題が扱われているために、集団的自衛権を知らない者が本書を読んだ場合、問題が見えにくくなっている面もある。そのような読者には、本書の「m 日本国憲法と集団的自衛権」をまず読んでから、他の章を読むことを勧めたい。

 本書を読めば、集団的自衛権の容認は、戦後日本の方向性を大きく変える問題であることがわかる。その意味で、本書は、特定の立場を示さないようにしているが、読者がその問題への立場や意見を明確にすることを問うている。

(評・城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授 鈴木 崇弘)

(月刊MORGENarchives2014)

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