『ぼくの守る星』

神田 茜/著

集英社/刊

定価1,296円

人はたった一人でも理解者がいれば生きられる

 ハウスがあっても、家族がいても、自分のことを真に理解する人がいなければ、それは居場所のない「ホームレス」ではないか。クラスがあっても理解する友達がいなければ、「ホームルーム」にはならない。

 しかし、人はたった一人でも理解してくれる人がいれば生きてゆける。そのようなことを考えさせてくれたのが『ぼくの守る星』である。

 中学二年生の夏見翔を取り巻く人物のそれぞれの視点から描かれた六つの章が面白い。各人の心理描写が丁寧で、息をのむほどに、その思いが伝わってくる。

 翔は、脳の障がいからか、読み書きが不得意である。間違って読んでしまうと、それがクラスでは爆笑を誘い、人一倍受ける。勉強も早くてはついていけない。クラスでは低成績だ。けれども、だからこそ他人の悲しみがわかり、寄り添うことができる。翔の友達である山上くんや、まほりさんも悩みを抱えているが、翔によって癒される。

 また、本書では、父親の単身赴任によって家族の気持ちがすれちがっていく様子、姉を亡くした家族の悲しみ、父親の職業への周囲の偏見と翔の励まし、障がいを持つ子どもが普通学級でさらされるできごとなどが詳しく描かれていて、読みながら胸が痛くなる。これは、教師にはぜひとも読んでほしい作品であるし、人間には成績や数字では評価できないほどの多くの可能性があることを知らされ、一気に読んで、感動させられた。

 翔と知り合った山上くんや、まほりさんもまた、人のことを考えられる「優しさ」を持つ人間へと成長しているのが嬉しい。いつまでも心に温かさが残る作品である。

(評・東京 明治学院学院長 小暮 修也)

(月刊MORGENarchives2014)

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