『日本人の英語はなぜ間違うのか?』

マーク・ピーターセン/著
集英社インターナショナル/刊
定価1,080円

自然な英語表現、豊富な具体例

 ピーターセンは、かゆいところに手が届く指摘をいつもしてくれる。本書は、 「日本人の大学生が書いてしまいがちな英文と、日本の中学校で使われている英語の教科書に共通して見られる典型的な特徴と問題点を取り上げ、その修正方法について考えて」みた本である。

 まず、教科書には、まだ学習していない文法の表現は使えないという制限があると著者はいう。過去完了や、あるいは仮定法を使えば自然な英語表現になるところを、中学ではそれらを教えないことになっているので、無理な表現を用いた妙な言い回しがみられると指摘する。

 また、日本人がつまずきやすい簡単なことばをとりあげる。例えば、誰もが皆同じように思ったり感じているわけではないのに、weを連発する。あるいは、当然の結果を表すのsoを、それが不確かでも、半ば強引に 「だから」 と使う。あるいは、itとthatの区別をせず「それ」をなんでもitと言ってしまう。

 さらに、日本人の英語表現にみる論理のつたなさを挙げている。これは重要な指摘で、 「日本人の英語はなぜ間違うのか?」の答えにすらなり得る。例えば、for exampleと言ったにもかかわらず、例になっていないことを述べたり、 becauseをはさんで並べられた前後二つの表現は、実は逆に入れ替えないと、つじつまが合わなかったり、驚いてもいないのにreallyと言ったりすることなどだ。

 このように本書では、母語話者の使う自然な英語表現を、豊富な具体例とともに指南する。一読はもちろんのこと、英作文の副教材としても最良の一冊になるであろう。

(評・東京立教池袋中学校高等学校英語科教諭 池上 俊彦)

(月刊MORGENarchives2014)

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