
『いつもこどものかたわらに』
細谷 亮太/著
白水社/刊
定価1,944円
小さな命の治療に人生をかけた医師の思い
この本のページをめくっていくと……困難な病と闘いながらも生きていこうとする、小さな命の治療に人生をかけてきた医師の思いがいっぱいに詰まっています。
長い間小児科で、難病・がんの専門医をされている聖路加国際病院の細谷亮太先生の日々を綴った、エッセイ集です。
「泣けなくなったら、医者をやめる」これは、冒頭のタイトル名です。かつて先生は、師に泣いてはいけないと教えられたのですが、ご自分の手で治すことが出来なかった子どもを看取る時に流した涙や、ご自分が非力である事を(私はそうは思えませんが)思い知らされて、あふれるくやし涙や、厳しい医療現場の中でも優しさに触れるて流すうれし涙の数々のエッセイには、心が痛くなる程、先生の優しさを伺い知る事が出来ます。有名な先生でいらっしゃり、ご多忙の毎日でありながらも患者とその家族と共に歓び、苦しみを共感する事を忘れず、涙を流される……そんなひたむきで、熱心な先生の治療を受ける事ができた子ども達は幸せだと思います。そして医師である限り、涙を流して下さる約東をした先生を尊敬します。
先生は病院勤務の他に、難病の子ども達の夢のキャンプ場を運営なさったり、休日には地方の子ども達の診察もなさっておられる事も綴っています。また、俳人である先生は、患者さんの旬も詠んでおられます。
まさに”いつもこどものかたわらに”です。そのかたわらに「大丈夫」という先生の魔法の言葉が聞こえてきます。
(評・静岡県立御殿場高校司書 鈴木 治子)
(月刊MORGENarchives2014)
