
「わたしのマンスリー日記」第34回「今日の日はさようなら」その1
昔、「カバゴン」の愛称で親しまれた教育評論家の阿部進先生は、私のことを「谷川先生は典型的なB型で、過去や未来ではなく、今に生きる人だ」と口癖のように言っていました。私は血液型の説をそのまま信じているわけではありませんが、阿部先生の指摘は妙に当たっているのです。
「今を生きる」とは「その時点その時点で最善の道を選び、決断する」ことです。人生はその「今」の積み重ねに他なりません。私が高校時代に教育学を志したのも「今」。上田薫先生に師事したのも「今」。柳田国男先生の学問と教育論を継承すべく、地名研究を始めたのも「今」。生活科の創設と定着に尽くしたのも「今」。いずれの選択にも悔いはありません。
私は生来負けず嫌いで、何事にも全力でぶつかっていくタイプでした。不本意ながらもやらざるを得なかった役職も、引き受けた以上全力で取り組むというのが私の生き方でした。その結果、自分で言うのは僭越ですが、多彩な「顔」が生まれました。教育学者の顔以外に、柳田国男研究者の顔、地名研究者の顔、マンガ論者の顔、食育の専門家の顔、大学の管理・経営者の顔、ノンフィクション作家の顔等々です。
こう列挙してみると、自分が何者であったのかわからなくなるのですが、自分の能力の2倍、3倍の仕事をこなしてきたことは確かですね。

