「こころの病も心身一如の自然治癒力」―季節性うつ病から双極性障害を自ら体験して― 第2回「医学の本旨は人間のもつ自然の生命力」

千島学説認識不足派と想定される参考文献から考える

 次いで著書を読む限り、千島学説受容派と思える波多野勝彦氏の著した『すべての病気は自分で防げる!』 には、「病気の改善や健康維持」は「ホメオスターシス」によるとし「〝恒常性″」と言ってもよくわからない」と以下の説明をしています。

 ギリシャ語が語源である 「ホメオスターシス」とは、「homeo」とは似ている、 「stasis」は状態のことであり、つまり「似た状態」ということですが、これは「つりあいがとれている、 一方に片寄らず、平衡を保っている」という意味で、これは「復原力」でからだを正常にしようとする「生命維持機構」で、「動物に本来そなわっている機能」と言え、「自然治癒力よりも奥が深い」ととらえています。

 さて、ホメオスターシスはアメリカの生理学者キャノンの唱えたものです。千島喜久男全集第6巻(地湧社)の調和の原理とむすびの章、調和とAFD現象(Aggregation Fusion Differ-initiation:細胞や微小生物が寄り集まって溶け合い一つの細胞(生物)に分化発展すること)の項にある「気血の調和とホメオスターシス」から引用します。

「ホメオスティシス(Homeostasis)とは、人体ではその生理的諸機能、たとえば、呼吸、血液の組成、心臓の働き、体温などがたとえ内外の条件が変化しても、ほぼ一定した平衡状態を保つ能力をもっているのは脳や自律神経やホルモンの調和的な働きによるものだという説である」

 更に干島博士は、「キャノンは、ソ連のパプロフの条件反射学、オーストリアのフロイトが創始した精神分析学、カナダのセリエのストレス学説や、自己の生理学を基礎として精神身体医学を唱えた」「感情と肉体との密接な相関々係を医学に応用したこの精神身体医学は日本の医学界にも大きな影響を及ぼしている」(血液と健康の知恵 地湧社)

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