
塚本 晋也さん(映画監督・俳優)
映画監督、俳優・塚本晋也さん。およそ映画制作にまつわるすべての力を備える映画界きってのマルチプレイヤーだ。『鉄男』、『六月の蛇』、『KOTOKO』……、等、監督としてメガホンをとる作品は、海外でも高い評価を受ける。2015年には、日本社会で薄れゆく、戦争の記憶を風化させまいと『野火』を発表した。情熱の源泉はどこに、十代の地図を訊ねた。
東京のご出身ですね
生まれてから2歳くらいまで下北沢にいたらしいんですが、一番古い記憶は渋谷ですね。住まいの神宮前は、今は、いわゆる住みたい街の代名詞ですが、僕の小さかった頃は、表参道の裏手にある、ごくありふれた住宅地。閑静というよりは、普通というのが似合う場所だった。高度経済成長期が生んだビル群を背景に幼い頃を過ごしました。
どんなお子さんでしたか
いろんなことが遅いどこか抜けているような子どもでしたね。とにかく何かにつけ、まわりの友達に遅れてしまう……。それが強い劣等感になって、幼稚園、小学校、とずっとあった。恥ずかしがり屋だったこともその意識を過剰にしていましたね。
羞恥心と舞台はどう結びついたのでしょう
小学校4年生の時に学芸会に出たんです。なにしろ極度の恥ずかしがり屋ですから心臓が止まるかという舞台だった。ところが、それを乗り越えると途端に空が真っ青に感じたんです。急に目の前が未来が拓けた感じがした。それまで鬱々としていた人生が芝居でパッと解放された気がしました。
そのころ夢中だったのは
興味の中心は、子どもの時からずっと変わらず絵を描くことです。それで高校は美術、油絵の専門に行き、大学も日大芸術学部で油絵を学んだ。ですから、とくに映画のことは学んでいないんですよ。
