
和合 亮一さん(詩人)
震災を境にどんな変化が
今度出す本の内容もそうですが、子どもたちに詩を書いてもらいたいという気持ち、若い方にもっと伝えたいという気持ちが凄くあるんですね。『詩の礫』には、メッセージが沢山散りばめられているんです。それが学校の合唱曲になったりもしているんですが、そのメッセージというのが、学校のホームルームで生徒に話す内容そのままなわけです。地震の揺れを感じながら、口を突いて出る、「夢があるなら夢を諦めるな」とか、そういうのが、詩の礫を続けるうち、ポツポツ出てきた。そこが、福島を心配してTwitterを見てくれる人たちには、特に大事に読んでもらえたようなんですね。
福島の子どもたちへ言葉を
自分の時間を大事にできるような、はっきりとした眼差しを持った大人に育ってもらいたいと思います。どうしても大きなものに目移りする日本の社会、押し寄せる沢山の情報の波に流されるばかりの中で、震災があり原発事故が起きた。だからこそ、今までのことは間違っていたんだという発想で、限りある自分の時間をもっと身の丈にあった生き方と考え方をして欲しい。季節のウツロイを感じ、身の回りの生活のサイズをちゃんと意識して、その中で精一杯やれることをやる。そういう生き方を子どもたちにはしてもらいたい。そうするうち、自分の言葉も出て来るし、自分のイメージも見えてくる。宮沢賢治の言葉に「体に刻む勉強をしなさい」というのがあります。もう一つは、今の小学校は、もう震災を経験していない世代も通っているんです。経験している子、していない子が同じランドセルを背負って通学するんだけど、そこにはやっぱり隔たりがある。そこを埋めるのもまた、僕たち大人の身の丈に合った生き方なんじゃないかと思うんですよ。
わごう りょういち 1968年、福島県生まれ。福島大学卒業。1999年、第一詩集『AFTER』で第4回中原中也賞を受賞。2006年、詩集『地球頭脳詩篇』で第47回晩翠賞を受賞。2011年、福島県内で東日本大震災罹災。その直後よりツイッターにて詩の発信を続け、投稿をまとめた詩集『詩の礫』を同年6月に発表。同作はフランスにて翻訳・出版され、2017年にフランスの文学賞『ニュンク・レビュー・ポエトリー賞』を受賞。2019年、詩集『QQQ』で第27回萩原朔太郎賞を受賞(受賞記念展が現在前橋文学館にて開催中4/12まで)。主な詩集に『RAINBOW』、『詩の黙礼』、『詩の邂逅』、『廃炉詩篇』、『昨日ヨリモ優シクナリタイ』など。近著に詩集『十万光年の詩』、詩作手引き書『詩をつくろう(シリーズ)』などがある。
(月刊MORGENarchives2020)
