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三浦 しをんさん(小説家)

編集者は断念、しかしそこから文才が輝きを

 そうですね、ある出版社で作文を書く試験があって──確か「10年後の私」というようなテーマだったと思うけど、編集者が「面白い」と言ってくれたんです。作文の内容は、その出版社に受かることを想定して、作家の原稿を取り立てる毎日、みたいなことを面白おかしく書いた覚えがあります。そんな書き方をする受験者が、あまりいなかったらしいです。「面白い」と言ってくれた編集者が、「今度、著作権エージェントを立ち上げるので、そこに所属して書かないか」と持ちかけてくれて、そこから。

作家としての才能を見出されたんですね

 編集者と仕事をして思うのは、私が編集者になれなかったのは当然だということです。作家でも編集者でも、職業というのは、多分、才能以上に性格的な向き不向きというのがあると思うんです。編集者に要求される能力って多岐にわたっていて、しかも本人の性格が物凄く重視される分野だと思うんですね。
 心境の浮き沈みがはげしい人たちを相手に、「いやいや大丈夫、さあさあ書いて」とうまく持っていくのは、凄く大変だし、いざ出来上がった作品がどうしたらもつと良くなるか、もっと売れるか、といろいろ考えるプロデューサー的な能力も必要とされるし、大変な仕事だと思います。凄く忙しいし。

『神去なあなあ日常』は林業がテーマです

 林業は以前から結構気になっていたんです。というのも、祖父が山奥で林業をやっていたんですよ。でも祖父の場合、あまり働いているように見えなかったんですよね。百年単位の月日をかけて木を育てていく仕事だから、のんびりした時間を過ごしているように見受けられたんです。祖父の晩年には、林業は斜陽産業になっていましたから、頻繁に手入れするわけでもなく、新しく木を植えることもなく、何をして食べているのか、子供ごころに不思議でした(笑)。そんなこともあって林業がとても気になっていたので、調べて書いてみたいと考えて。

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