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大門 真優子さん(衣装デザイナー)

 FITは州立大学である。アメリカの州立大学の特徴は、なんといってもその多彩なカリキュラムだ。当然、FITもファッション以外にさまざまの科目があった。ビジュアルディレクションにサイエンスフィクション……、あるいはイラストレーションの講義まで、少しでも興味が湧けば大門さんはとにかく足を運んだ。

 留学前期はなるべく多くの授業に顔を出す。そうして自分の興味を見極めたら、後期にはそれを深める選択をする――。異国の日々は、未来図の輪郭を次第にくっきりとさせていく。充実の1年はあっという間に過ぎ去り、帰国するとすぐ大門さんは文化ファッション大学院大学(以下BFGU)進学を決めた。

「アメリカから帰って、いま自分に何が必要なのか考えたときに、これからの自分を説明する資料がいると気付いて。向こうで作った作品もあったけど、もっとたくさん必要だと。それで大学院に進もうと思って」

 丹念に育てる夢の木が芽吹いたのはBFGU1年のころ。俳優・菅田将暉のファッションデザインを手がけることになったのだ。友人づてに受けることになったこの仕事が評判を呼び、在学中からそのキャリアを歩み始めることになる。

 今は個展やイベントに忙しくする毎日。自ら手がける衣装を身にまとい、そのキャラクターを取り巻くすべての世界を映像や画像で表現する。衣装展示やコラボレーションも活発に行い、独自の世界観はいままさに満開の様相だ。とはいえそこは未踏のルート。難しさを訊ねると、

「よく、大変じゃないの? と言われるけど、ひとつ新しいことを学ぶたびに、自分の夢に近づいている感じがするんです。支えてくれる両親、仲間との出会いもある。だから全然大変とかはないですね」

 やっとやりたいことを始められた。これを足がかりに、もっといろんなことを進めていきたい。自分はまだ歩き出したばかり――最後にそう言って微笑った。

だいもん まゆこ NYで学んだオートクチュール技術を活かし、衣装デザイナーとして活動する。昨今ではアートディレクション・映像監督・美術・誌面・グッズに至るまで総合的に手掛ける。2023年秋 SS24パリコレクションにて作品発表予定。主な作品として「&TEAM学園」「FUN!FUN!FANTASTICS」シリーズ、「マネキン・ナイト・フィーバー」「0年0組-アヴちゃんの教室-」菅田将暉アーティストブック「20+1」AKB48 チーム8舞台「Bee School」映画「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」阿部サダヲバンドグループ着用衣装など。(2023年現在)

(月刊MORGEN archives2018)

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