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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第25回 人を恐れない日本のライチョウ

最終氷期に移り住む

 日本のライチョウの祖先は、今から2~3万年前の最終氷期に大陸から入って来た集団です。その後氷河期が終わり、温暖化と共に高山に逃れることで、世界の最南端の地で今日まで生き残って来ました。

 日本のライチョウは、最終氷期に北から日本列島に入ってきましたので、かつては北海道や東北の高山にもライチョウが生息していたと考えられますが、今から6,000年前の今より温暖な時期にこれらの高山のライチョウは絶滅したと考えられています。山が低く、面積も小さかったからなのでしょうか。それに対し、本州中部にはアルプスに代表される高い山があったので、今日まで絶滅せずに生き残ることができたのでしょう。

 日本の次に南に分布する集団はフランスとスペインの国境にあるピレネーに棲む集団、3番目はヨーロッパアルプスに棲む集団です。日本を含むこれら3つの集団は、いずれも高山に生息しています。最終氷期には、ライチョウは今よりもずっと南まで分布を広げていましたが、氷河期の終了と共にライチョウは北に退き、一部が分布南限の地の高山に取り残されたのです。

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