野鳥と私たちの暮らし 第25回 人を恐れない日本のライチョウ
ライチョウと私の関り
私の恩師、信州大学の羽田健三先生は、大学を退官するまでの30年間、ライチョウの研究をされました。先生が解明されたことは、ライチョウの春から秋の高山での生活の解明と本州中部の山ごとのライチョウの数の解明です。
私は、学生の頃からライチョウの調査を手伝い、大学院を終えて助手として戻ってから羽田先生が退官するまでの5年間、後者の生息数の調査を手伝いました。その結果、羽田先生が20年ほどかけた調査から、1980年代当時日本に生息するライチョウは約3,000羽であることが分かりました。
羽田先生の退官後に研究室を引き継いだ私は、その後長い間ライチョウの研究から遠ざかっていました。私自身の研究であるカッコウの托卵研究に長い間関わっていたからです。カッコウの研究で外国を訪れる機会が多くなり、アリューシャン列島、アラスカ、カナダ、ノルウェー、スコットランド、フランスなどを訪れた折に外国のライチョウを見ることができました。これらの国のライチョウを見て驚いたことは、いずれの国でも人の姿を見ると飛んで逃げることでした。