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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第29回 食用に捕獲された鳥 ツグミ

冬に訪れる鳥

 秋の紅葉の時期は、冬を日本で過ごす鳥たちが北から次々に渡ってくる時期です。この頃までには、春に日本を訪れ、日本で繁殖した夏鳥は南に戻り終え、入れ替わるように北から冬鳥が日本列島に渡ってきます。シベリアやカムチャッカ、樺太など北方で繁殖したハクチョウやカモの仲間など、多くの鳥が秋に日本に渡ってきます。

 ツグミ(鶇 )は、そんな冬鳥で、冬には日本中に広く見られる身近な鳥です(写真上:冬鳥として身近なツグミ)。大きさはムクドリ位で、翼の茶色、胸から腹にかけての黒い鱗模様の斑点、目の上の白い眉斑が特徴の鳥です。

 鳥の渡りがまだ理解されていない時代、夏になるとツグミの声が聞かれなくなることから「口をつぐむ」の意味で「ツグミ」と名づけられました。

晩秋に群れで山地に飛来

 ツグミの繁殖地は、ロシア極東のシベリアの森林地帯です。日本に渡ってくるのは、紅葉が終わりかけた晩秋の10月末から11月。渡来当初は山地の林に群れで見られ、ナナカマド、ツルマサキ、マユミ、イヌツゲなどの実を食べ、集団で過ごしています。

 初雪の降った10月末の夕方、ブナ林の林床のササ藪にツグミが群れで塒を取るのを、私は観察したことがあります。

 山地の林が落葉し、秋の実が得られなくなると共に、ツグミは平地に降りて来て、冬には市街地でピラカンサなどの庭木の実も食べます。

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