「こころの病も心身一如の自然治癒力」―季節性うつ病から双極性障害を自ら体験して― 第2回 「医学の本旨は人間のもつ自然の生命力」

 「最近の精神科領域では、「レジリエンス」という言葉が注目されている。アメリカのオバマ大統領が就任時に行った施政方針演説になかで使われ、有名になった。辞書を調べると、弾力性、あるいは回復力などと説明されている。精神科領域での統一された定義づけはまだのようだが、ストレスフルな状況や逆境に陥ったときでも、それをはねのけて回復していく力、あるいはその回復過程自体をさすものとされている。

 「レジリエノス」が精神医学で最初に使われたのは小児精神医学で、1990年代のことで、未熟児として生まれることや貧困家庭での生活、あるいはトラウマとなってしまうような体験などは、子どものからだの発達や精神保健上のリスクとなる。しかし、リスクを抱えながらも、それに屈することなくはね返す力を持ち、順調に成長できる子どもがいる。ここのような「逆境にもかかわらず、よく社会適応をすること」を「レジリエンス」といったようだ。

 しかし近頃では、PTSD (心的外傷後ストレス障害)やうつ病などの多様な精神疾患において、予防から治療までの長いスパンで人間本来の回復力を引き出すことが「レジリエンス」だと 理解されるようになってきた。そして、「レジリエンス」 は「こころの病」 の防御因子としても注目されてきている。私は、この場合は「こころの免疫力」のことではないかと考えている……」

 この「こころの免疫カ」については後述します。

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