『「問う力」を育てる理論と実践――問い・質問・発問の仕方を探る』

知識活用型の導く未来は

 より良い社会に繋がっていくんじゃないかと期待しています。どうしたらもっとみんなが幸せになれる社会になるんだろう……、とか、そういう問いを考えられる人材作りにも貢献するんじゃないかと。

 そういう意味では、この本で書いた内容は学校教育が中心ですが、最終的には、社会に貢献できるような人材育成にもつながるのかなと思っています。範囲も、小学校から大学までカバーしていますので、思い思いに講習にあったページを開いてもらえればと思いますが、出来るならぜひ、講習にはない章も読んでいただきたいです。

 それを自分の学校、クラスに当てはめるという視点で読んで欲しいんですね。「イヤ、でも私は小学校の教師だから大学の実践は関係ない、高校の実践はチョット興味ないナ――」、ではなくて、それをどうにかして自分のクラスにも使えないかという目で見ていくと、先ほども述べた本書の特色「実践+背景理論」が必ず生きてきます。 ですから、まずはご自身に関係した部分を開いて、そこからだんだんと範囲を広げて読んでもらえればと思います。

 特に小中高の先生方を中心に読んで欲しいと作ったので、本書を手に取って、ぜひ一学期に一度は知識探求型の授業にトライしてもらえたら嬉しいですね。本の中にも書きましたが、子どもたちにとっても、探究的に学んだ方が頭に入りやすいというデータもあります。実際、海外では探求的な学習が随分広がっていますので、日本も頑張って欲しいと思いますね。

おやま よしのり 千葉大学教育学部准教授、博士(教育学)。研究テーマは質問生成スキルの育成・英語教育。著書に『基礎からまなぶ教育心理学』(編著)がある。

(月刊MORGEN archives2021)

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