『アナログゲーム療育~幼児期から学齢期まで~』

ゲーム療育の意義とは

 ゲームを理解するというのは、まず言葉や数を理解する。そのうえで、プレイヤーとして手札を使いこなす、ということです。これは、非常に学校の勉強――教科学習との関連が深いです。

 ゲームをすると、いつも順番を間違える子がいる。おそらくADHDだろう、大人たちは思う。ところが試しに数を数えさせてみると〝3個″が数えられないと分かる。2個までしか数えられない。「3つあとが君の番ね」と言われても、そもそも「3つ」が分かっていなかったんですね。

 彼はいつも「順番を守らないからアイツとは遊ばない」と言われて仲間外れになってきたけど、よくよく調べると、数が数えられない。教科学習の遅れが根っこにあることが分かった。もうひとつは、大人の観点ではコミュニケーションは結局「情報のやりとり」です。情報は言葉や数で示されますから、その取扱いを学ぶことになるわけです。

療育の効果を実感するのはどんなとき

「お友達と遊べるようになりました」というのが一番ですね。ある日突然、障害者教室に来なくなる子がいるんです。友達と約束しているから今日は行かない、と。「何やってるんだ」と聞くと「友達とカードゲームをしてる」という。

 確かに、来た頃はよく癇癪を起してルールを破っていたその子は、最近では同年代とも落ち着いて遊べるようになっていた。そして、そうなった段階で今度は自分で外で友達を見つけ、出て行ったんです。これは大変な進歩だと思います。

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