大川 功さん(聖学院中学校高等学校 図書館部長) 

保護者とつながる学校図書館

 本校は、都内では唯一のプロテスタント系中高一貫男子校です。図書館は、「生徒・保護者・教職員の文化を撹拌し、発展させていくことを目指す」という理念のもと動的図書館として役割は果たしています。毎朝7時30分に開館し、始業前の生徒が、読書や課題の確認等に訪れ、司書からの「いってらっしゃい!」の言葉を背に教室に入る者もいます。授業では1時間目から6時間目までのすべての授業で図書館が利用されることもあり、理科の「砂糖についての研究」、社会の「SDGsの実現にむけたアイデアの発表」、保健での「教科書POP作り」、国語での「新書を10冊読もう!ビブリオバトル」、社会での「世界の食べ物調べ」など、常に空気が動いている空間です。また、放課後は、高校サッカー部がグラウンドでの練習前にブックトークやPOP作りに励んでいます。

 図書館では、生徒・教職員だけでなく、保護者に対しても貸出カードを作って、本の貸出を行なっています。「生徒が本に親しむには、まず保護者が本を読む姿を見せること。『ためになる読書』から解放され、親子で本について語り合う雰囲気を家庭の中で作ること」を伝えています。また、「男の子の思春期を、母親としてどのように受け止めればよいのか?」について、子育ての先輩の立場から、司書が自身の経験をもとに保護者にむけてお話しをする会も6年目を迎えます。保護者からは、ご自身の趣味を生かしたクロスステッチやフラワーアレンジメント、手作りのぬいぐるみといった作品が届けられ、館内の装飾に彩りを加えています。さらに、年に二回、生徒・保護者・図書館関係者を対象にした公開講座を設定し、作家、翻訳家、雑誌編集者による講演を開催しています。3月11日には、仙台で被災した経験を持つ先生から当時の様子をお聞きすることで、「首都圏に住む我々が備えるべきこと」について考える機会を持つ予定です。リカレントの観点から、保護者に日常的に図書館を開放する点に、本校の特徴があります。

図書委員による絵本の読み聞かせ

 学校説明会や文化祭では、図書委員が児童にむけて絵本の読み聞かせを行っています。「男子校の図書委員」というと、どのようなイメージを抱かれるでしょうか?普段は無口な図書委員もいますが、絵本を手にすると、そこに描かれる世界に入って、すばらしい読み聞かせを披露してくれます。幼い頃、母親に読んでもらった絵本を、高校生になって改めて手に取ることには哲学的な発見があります。児童からの感想も好評。図書館は発見の場であると同時に、表現の場でもあります。

 このように、本校の図書館では、本の貸出だけでなく、生徒・保護者のあらゆる知的好奇心を掘り起こすマドラー役を目指しています。

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