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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第26回 ライチョウ(2)日本のライチョウの現状と課題

多くの山岳での数の減少

 まず、最初に気づいたのは、多くの山岳での数の減少でした。2003年の9月、22年ぶりに南アルプスの北岳を訪れました。北岳から間ノ岳にかけての地域は、以前の調査では南アルプスで最もライチョウが多く生息する場所でした。それが、ライチョウの姿や生活痕跡がほとんど見つからなかったのです。明らかに異変が起きていると気づきました。

 そのため、翌2004年の6月には北岳から間ノ岳一帯の調査を実施しました。その結果、1981年の調査ではこの地域一帯に計63のなわばりがあったものが、計18なわばりに激減していることが分かりました。

 このことを契機に、他の山岳についても以前に調査したと同じ時期に同じ方法でなわばり数の調査をすることになりました。

 6年間の調査により分かったことは、火打山や乗鞍岳のようになわばり数は以前とほとんど変わっていない山岳もありましたが、多くの山岳でなわばり数が減少していることでした.最も減少が激しかったのは南アルプスの北岳から間ノ岳にかけて地域で、南アルプス全体では、以前の半分以下に減少していました。次に減っていたのは御嶽山で、以前の半分ほどに減少していることがわかりました。

 この調査の結果をもとに、全山のライチョウの数を推定すると2,000羽以下となり、羽田先生が調査を終えた1980年代の3,000羽より、この30年間に大きく減っていることがわかりました。

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