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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第30回 身近な冬鳥 アトリ

橙色の喉と胸をした冬鳥

 アトリ(花鶏)は、冬の時期に見られる喉と胸が橙色をした小鳥で、大きさはスズメよりやや大きい程度です。雄は繁殖期には頭部が黒いのですが、冬の時期には雌のよう黒と灰色のまだら模様になります。雌は雄に比べて黒や橙色が薄いので、冬の時期でも雌雄の区別ができます(写真上:冬羽のアトリの雄・下:雄より色がやや薄い雌)。

 アトリの分布は広く、ユーラシア大陸北部から樺太にかけての亜寒帯針葉樹林で繁殖し、冬には北アフリカの他、ヨーロッパから中央アジア、中国、朝鮮半島、日本に渡ります。日本に訪れるのは、シベリア方面で繁殖する集団で、日本全国で見ることができます。市街地の公園などでも見られ、日本では最も身近な冬鳥です。

 庭などに設置した餌台にもよく訪れ、ヒマワリの種やヒエ、キビなどの種子を好んで食べます。

 アトリの名の由来は、集まる鳥(あつとり)がなまったものと言われています。また、紅葉を終えて葉が落ちた木に群れで止まる姿が、木に花が咲いているように見えることからアトリは「花鶏」と書かれ、秋の季語にもなっています。

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