中村すえ子

『女子少年院の少女たち』

活動を始めて感じたことは

 初めて少年院に行って、女の子たちの前に立って話をしたとき、まさに15年前の自分がここにいる――、と胸に来るものがありました。でも、私はきっかけがあって、信じてくれる大人たちの助けで変わることができた。きっと、それがあれば彼女たちも変われるはずだ、って思って。この子たちに寄り添っていける自分になりたいと強く願った。

映画「記憶」の着想は

 しばらく活動を続けるうち、映画に出てくる子たちのような、悪いことをして加害者なんだけど、その前提としてまず被害者なんだ、というのを目の当たりにするようになっていったんです。同時に、そこには貧困や虐待といった、いわゆる社会問題も背景に浮かび上がっていて……。この子たちを単なる加害者として扱っていいものか疑問に思うようになった。

 少年院から出て来ても、「悪い奴」みたいなレッテル張りをして、それで終わりでいいのかと。そうじゃないだろ、って。もちろん、だからと言って彼女たちが悪いことをしていいわけじゃないし、少年院に入ってちゃんと自分と向き合うのも大事です。でも、社会も変わる必要があるんじゃないかって。それを何かのかたちで社会に発信したくなった。

「女子少年院の少女たち」執筆のきっかけは

 昨年、大学を卒業したんです。なにしろ中学卒業から随分経ってのことだし、子育てとの両立も簡単じゃなかった。そんな色々が頭をめぐったとき、ふと今までの総決算というか、自分自身のことを含めてかたちにしたいなと思った。そこに声を掛けてくれたのがさくら舎の松浦さんだった。松浦さんは2009年に放映された私の自叙伝的映画の配給を担当してくれた方で、そこからの縁だった。で、渡りに船と書き始めて。

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